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2015年1月27日 (火)

釜石と石巻の鉄道事情 下

「釜石と石巻の鉄道事情 上」からつづく)

 釜石駅のそばには、「シープラザ釜石」というビルが建っている。各種商店が並ぶ総合商業施設だが、人通りは僅かである。釜石駅に入る直前、右手に真新しいイオンが見えたから、その影響であろう。
 しかしイオンまで歩くのも面倒なので、このシープラザで食事を済ませた。

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 JRのホームに上がると、腕木式信号機のオブジェがある。そして、現役の信号機には「釜」「山」という記号が並んで掲げられ、韓国に来たかのような錯覚に陥るが、それぞれ釜石線と山田(やまだ)線への出発を指示する信号機である。山田線は未だ不通のままだが。

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 ここから釜石線の普通列車で花巻方面に向かい、帰路につく。
 途中、陸中大橋(りくちゆうおおはし)駅付近は、勾配緩和のための距離を稼ぎ、大きく山を半周するトンネルが掘られている。ゆえに、今通ってきた線路が真下に見下ろせたりする。釜石線随一の見どころである。
 この釜石線には先日からSL列車の運行が始まった。遠野(とおの)のような風情ある街も通る。SLに合わせ、各駅にニックネームが付けられ、正規のものと異なる装訂の駅名標が設けられている。  

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 新花巻(しんはなまき)で新幹線に乗り換えるため下車したが、このホームに、なんと所属校で教えている学生がいて、わたしの姿を認めていた、と後で聞いた。釜石でのインターンシップに向かう途中だったのだという。
 学生の目があるから、と県内では特に行動を慎んでいるわたしであるが、これでは全国どこにいても油断できないではないか。

 

 日を改め、といってもそんなに日をおかずだが、今度は石巻(いしのまき)方面に出かけた。
 まず、小牛田(こごた)から石巻線で石巻に入った。石巻は石(いし)ノ森章太郎(もりしようたろう)氏の出身地であることから、漫画の街としての演出がなされている。このため、石巻線や仙石(せんせき)線には漫画のキャラクターをあしらった「マンガッタンライナー」と呼ばれる車輌が走っている。
 休日だとそれが入るはずの列車だが、この日は平日である。それでも、もしかして、と期待していたのだが、残念ながら通常のディーゼルカーであった。

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 このディーゼルカーだが、非冷房車であった。なんとなく、普通列車でも冷房付きがあたりまえ、という感覚になっていたが、東北にはまだあるのである。車内で扇風機が回るなか、窓を細めに開けて風を感じて走る。何だか、とても久しぶりの感覚を懐かしく味わった。

 石巻に着くと、早速駅の中でも外でも、そして街中でも、石ノ森漫画のキャラクターが迎えてくれていた。
 下の写真中央は、石巻駅の玄関を撮ったものである。「マンガッタンライナー」の案内なども掲示されているのが分かる。そして、人形の膝のあたりの高さに貼られている横長の掲示は、津波がこの駅まで押し寄せ、赤線の高さまで水位が上がったことを示している。駅は海岸から2キロ近く離れている。

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 その海岸沿いに、仮設店舗を集めた所があるというので、そこで食事をしようと、歩いて行った。恐らくは津波で店舗を失った地元商店が、肩を寄せ合って営業している。その一軒で、いくらのたっぷり入った丼をいただいた。

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 駅に戻ると、仙石線のホームにディーゼルカーが停まっている。
 仙石線は途中の高城町(たかぎまち)~陸前小野(おの)の間が依然不通になったままである。本来全線電化された路線だが、石巻側には電車の基地がないため、陸前小野~石巻間がディーゼルカーで暫定的に運行されているのだ。
 石巻線も浦宿(うらしゆく)~女川(おながわ)の一駅間が不通なので、現在は全ての列車が浦宿折返しとなっていて、まだまだ平常の状態にはほど遠い石巻付近である。
 陸前小野行は、2輌での運転である。小牛田の基地に所属するディーゼルカーが使われている。陸羽東(りくうとう)線のロゴマークが入っている。 

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 女性車掌が乗務するこの列車で、途中の矢本(やもと)まで行く。終点の陸前小野まではあと二駅あるが、代行バスはここで乗換えとなる。駅前でバスが転回できる駅がここなのだろう。

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 BRTとは違ってあくまで代行バスなので、もちろん一般道路を走行する。車輌も地元のバス会社から借り上げた貸切タイプのものだった。

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 途中、陸前小野の駅が遠望できる。さっき乗ってきたディーゼルカーはもうさっさと折返し発車した後だった。
 ここでもバスが行くのは国道45号で、道端にポールが立って「駅」となっている。

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 この先は津波により線路が壊滅的なダメージを受けた区間である。跡形ない、と言った方がいいほどである。鳴瀬川(なるせがわ)を渡る前後が、橋梁を含め、新しい高架に付け替えられようとしているのが、車窓から分かる。

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 この先の野蒜(のびる)、東名(とうな)といった駅名は、震災直後に列車と連絡がとれなくなった、などと報じられたニュースで耳にした名である。
 地震発生直前に、ちょうど野蒜から上下の列車がほぼ同時に発車していた。駅間で急停止した両列車だが、下り列車では地元の地理をよく知る客が、ここは高台だからこのまま車内にいた方が安全、と乗務員に力説した結果、全員が無事だった。上り列車は、マニュアルどおり乗務員が近くの避難所に乗客を誘導したが、その避難所も津波に呑まれ、乗客に死傷者が出た。分からないものである。
 陸前大塚(おおつか)あたりは海沿いを走るので、もちろん線路は完全に流された。標高の高い所に線路を付け替えて復旧することにした区間で、その工事も進んでいるようであった。

 バスは、松島(まつしま)海岸の旅館や飲食店が並ぶ一角に入り、やがて松島海岸駅に到着した。ここでも、高城町ではなく松島海岸までバスを運行するのは、駅前広場がここならあるからだろう。

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 松島海岸の駅は狭いホームが一面しかないので込み合ったが、バス一台を電車四輌で受けるのだから、ほぼ全員が着席した。
 反対側の高城町行として入ってきたのは、仙石線のマンガッタンライナーであった。

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 この列車が本来の行先である石巻に行くことができるまでには、まだかかりそうである。

(平成26年9月乗車)

(了)

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