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2015年1月16日 (金)

釜石と石巻の鉄道事情 上

 昨夏の休暇は、東北方面に出かけた。
 そのなかで、津波被害などに遭った沿岸地域の鉄道にも乗って来た。そういう地域に趣味の旅行で訪れるのは気がひける面もあったが、代替のバスに観光車輌が導入されたりしている、ということは、遊山客にも来てほしい、ということだろうと思うし、わたしだって神戸のときには皆が遠慮して神戸観光を敬遠している時期にも、むしろ沢山の人に訪れてほしい、と思っていたのだ。

 実際行ってみると、その風景や人々の暮らしぶりから、考えることはいろいろとあったが、それを書きだすときりがないので、できるだけ見たとおりの記録として書き留めておく。

 まず、JR大船渡(おおふなと)線で気仙沼に向かった。大船渡線は、「我田引鉄」の結果として妙な迂回をしていることで知られる。その様子を車窓に差す陽光で確かめながら全体としては東に移動した。
 気仙沼(けせんぬま)から先の大船渡線は震災の影響で不通のままだ。それで、線路敷を舗装してバスを走らせるBRTとしてとりあえず運行されている。また、ここから分岐する気仙沼線も、同じくBRTだ。
 気仙沼駅は、鉄道用のホームからBRTに乗降できるよう、線路部分が嵩上げ・舗装されていて、独特の光景になっている。列車の着いたホームの向かいからバスに乗れるのも、BRTならではである。気仙沼線のBRT道路が、なだらかに伸びているのも見える。嵩上げのおかげで、跨線橋を通らずにホーム間が行き来できるようになったのも、楽でよい。

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 気仙沼線本吉(もとよし)方面のBRTは駅構内のホームから発車するが、これから乗る大船渡線盛(さかり)方面のBRTは、通常の路線バス同様、改札を出て駅前広場から乗るようになっている。これは、大船渡線の方が途中まで一般道路を通る関係らしい。

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 やはり路線バスと同じ転回・待機所に入っていたBRT車が、着車した。
 これが観光車輌の「海」である。気仙沼線には同様の「旅」という車輌があるそうだ。
 「海」の車内は、後方座席が四人掛けになっていて、座席のモケットには魚の絵が描いてあったりする。が、どうもバスの四人掛け、特に後ろ向き座席は落ち着かない感じがする。向かい合って坐る膝の間隔も狭くなる。
 ただ、このように背もたれが高く車内の見通しがきかないので、前方の眺望が映し出されるモニターが後部に設けられていたりする。

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 山間を抜ける線路に沿う適当な道路がないようで、BRTは陸前高田(りくぜんたかだ)まで海沿いの国道45号を通る。だから景観はよいのだが、カバーできない駅があり、別系統のバスが運行される。
 反面、奇跡の一本松という駅が増設されている。松並木のなかで一本だけ津波に耐えた松があることで評判になったので、訪れる観光客が多く、その便を図った駅である。この便でも数人の乗降がある。しかし、周囲は全てが流されて更地になっていて、再開発のための重機が蠢いている殺風景な所である。どこに松があったのかも、車窓からはよく分からない。

 陸前高田の市街に入る。駅は津波で跡形もなく流されてしまった。だから、跡地に小さなバラックが建っていて、そこにJRの看板が掲げられている。ホーム跡らしい地面の盛り上がりが、かろうじてここが駅であったことを伝えている。
 斜陽化しているとはいえ、地方都市にとってJR駅は昔も今も街の中核だろう。それがこういう姿になっているのを見ると、やはり胸に迫ってくるものがある。
 陸前高田を出ると、まだ線路跡は走らず、市街地から山の方へ登っていく。高田病院に寄るためである。この病院も震災で被害を受けたため、山間に仮設院舎を建てて営業しているようである。鉄道代替だから鉄道駅に対応する所にしか停まらないはずのBRTが、わざわざそういう回り道をするのは、鉄道利用者に占める通院客の割合がそれだけ高いということである。
 それにしても、湾曲した山道を走るので、揺れがかなりひどい。乗り心地ではバスは鉄道に敵わない。 

 途中からはBRTらしく線路を舗装した専用道を走る。さすがに乗り心地はよくなる。駅もきちんと屋根付き待合室や時刻表が整えられた綺麗なものになり、単なるバス停とは格が違うことを主張している。その駅の部分は専用道が少し拡幅されていて、バスの「交換」が行われる。
 が、気仙沼駅といい、これほどバス用の設備を整えた様子を見ると、鉄道としての復旧はかなり先、少なくとも一年や二年という単位では無理らしい、と分かり、嘆息する。

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 やはり駅が全壊した大船渡を過ぎると、終点の盛である。盛は幾分内陸にあるので、津波が到達はしたものの、駅舎は残っている。ここで第三セクターの三陸鉄道南リアス線に乗り換える。
 窓口で三陸鉄道の切符を買わねばならないが、硬券があるというので、それを求めた。

 三陸鉄道も、もちろん大きな被害を受けたが、ようやく全線の運行が再開された。朝ドラ『あまちゃん』の人気が後押しとなり、全国から応援を受けている。もっとも、『あまちゃん』の舞台になったのは北リアス線の方である。

 1輌だけの釜石(かまいし)行ワンマンカーだが、女性アテンダントが乗車して案内にあたる。よくある「つまみ食い乗車」のツアー客が三組ほど乗り合わせており、立客も出て賑わっている。貸切バスの待機場所の都合だろうか、ツアー客はみんな三陸(さんりく)で下車、一気に車内はがら空きになる。
 吉浜(よしはま)は、国鉄盛線時代の終点だったが、ここからは吉浜湾の眺望がきく。ちょうど天気もいいので、いい眺めである。写真を撮る人のため、数分停車してくれる。
 釜石に近づくと、大観音が車窓から遠望できる。左側の山に見えるのは、鉄の博物館である。いずれも一度行ってみたい所だが、今回も中途半端な待ち時間しかないので、行くことができない。駅から結構な距離があるのだ。

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 釜石に到着、線路の下を潜るように通路と駅舎が設けられている変わった構造の駅である。三陸鉄道はその一番外れのホームに停車した。

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 ここからまたJRに乗ることになるが、その前に付近で食事をしたい。

(下 につづく)

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