« 玉子サンド選集(3)/カツカレー選集(29)~ チロル | トップページ | 鉄道とクルマ 言葉の取り合い »

2015年2月27日 (金)

相対的にパソコンとつきあう

 パソコンやネットワークは、秒進分歩の技術発展があるので、職場でも、いろいろ設定を替えたり普段と違うところにアクセスしたり、ということが多い。 
 そういうことをやっていると、パソコンと付き合い始めたころのことを思い出したりする。 

 現在の職場は、まさにITの裏方として社会を支えるような所だから、そこで人文社会を扱っているわたしは、相対的に「パソコンにはあんまり馴染んでいない」部類に入るわけで、その点で気が楽といえば楽だ。
 そうでなくても、国語国文の者というのはパソコン音痴という先入観でみられるのである。実際大学などに行って、今だに紙の資料や文献を一杯入れた重い鞄を背負っている学生は、国語国文だとあたりをつけてまず間違いない。職場でもお二人いる同僚の国語教員は、今でも試験問題を切り貼りと手書きで作っておられる。
 周囲にはプロやエキスパートがいっぱいいるのだから、パソコンやネットワークがトラブルに見舞われても、助けを求めることができる(もちろん、可能なかぎり自分で解決を試みて、どうにもならないときだけ相談するのだが)。

 
 しかし、四半世紀ほども前、大学にいた頃はそうではなかった。国語国文研究の場においては、往時のわたしは「かなり電子機器類に馴れている奴」と周囲にみられていた。
 ワープロ専用機は、周囲がほとんど誰も持っていなかった頃から手を出していた。学部のゼミで、レジュメをワープロ打ちにしたのは、わたしが初めてだったので、配布した瞬間に「おおーう」と感動されたのを覚えている。機械に興味があってのことでない。単に字が汚かったのである。
 また、文章に関するいろんな事象も、統計的に処理すれば、新たなみかたができる、と考えて、その方面ではるかに進んでいた心理学の研究室にも出入りして、パソコンの使い方もちょっとずつ教えてもらった。因子分析など手計算ではとてもできないが、それを使ってことばを分析して直観的な分析と照合すると、研究に説得力を与えることができた。
 そんな知識を国語国文に持ち帰ると、異次元の人間を見るような目で見られた。

 
 もっとも、現在のパソコンとは操作のしかたも全く違うから、当時のことはあんまり覚えていないし、覚えていてもあんまり役にも立たないだろう。今で言う「コマンドプロンプト」でいちいち命令を打ち込んでいたのである。
 CONFIG.SYS だけは覚えておけ、とうるさく言われたが、今となってはそれが何だったのか、よく覚えていない。リセットボタン(などという恐ろしいものが当時のパソコンには付いていた気がする)を押せとか押すなとか、フロッピーを入れたままで電源スイッチは切ってはいけないとか、いろんな注意事項をたたき込まれた覚えはある。
 そして、パソコンという魔法の箱を曲がりなりにも使いこなしているわたしは、国語国文の研究室ではまさに奇術師のように見られた。パソコンさえあれば何でもできて、それを使えるわたしにはどんなことでも頼める、と思われたのは、ちょっと迷惑であった。使える人がわたししかいないと、わたしがやらないといけないことが多くなる。元来どっちかと言うと機械音痴のわたしに、そういう立場は荷が重かった。
 
 しかし、やがてもっと詳しい後輩たちが院に入学してきたり、マウスやWindowsが登場して操作が全く変わったりしたため、ようやくわたしはそういう立場を御免となった。
 ほっとしたけれど、パソコンがほぼ別物になったので、せっかく身につけた乏しいスキルに意味がなくなったのは、ちょっと淋しかった。

 あの頃に比べると、今は本当に便利で気楽になったと思う。しくみの部分がブラックボックスに入ってしまって分かりにくくなった面はあるが。
 ただ、夜通し因子分析をやっているパソコンを、途中で停まらないかと気づかわしく見やりながら隣のパソコンでウノをやっていた(一台で同時に二つのことはできなかったのである)夜とか、「A列車でいこう」のDOS/V版が出たことに小躍りしたこととか、そんなことがちょっと懐かしくなることはある。

|

« 玉子サンド選集(3)/カツカレー選集(29)~ チロル | トップページ | 鉄道とクルマ 言葉の取り合い »

6.0教育・研究」カテゴリの記事

7.7.7  Web・パソコン」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/129332/59701290

この記事へのトラックバック一覧です: 相対的にパソコンとつきあう:

« 玉子サンド選集(3)/カツカレー選集(29)~ チロル | トップページ | 鉄道とクルマ 言葉の取り合い »