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2015年2月20日 (金)

誤読しそうになったニュースタイトル(6)

 今回も、短くまとめられたポータルサイト上のニュースタイトルをみながら、日本語表現を考えていく。

(51) 東京大雪は松岡修三氏原因?

 大真面目なニュースに混じってこんなタイトルが並んでいたら、思わず考えてしまうではないか。Web上でそういう冗談が飛び交っている、というだけの話で、なんでそれがニュースになるのか、と思う。
 飛び交い方がニュースバリューがあるほど激しいものだったのだろうか。それなら、大雪原因は修三? Webで評判 とでも書いてほしかった。何か字数を無駄遣いしている感じだ。
  

(52) 農薬混入、腕カバーに容器か

 これは単純に、片仮名の を漢字の と見間違えて首を捻ってしまったものである。暴力バー なら聞いたことがあるが、腕力バー とはどういうものか。腕限定で暴力を振るうのか。
 そうではなくて、冷凍食品に農薬が混入した事件で、犯人の従業員は、腕のカバーに容器を隠して、出入りの管理が厳重な工場の中に農薬を持ち込んだことが分かった、というニュースであった。
  

(53) 菊池亜美が舌の裏切る手術

 舌の裏切る、とは、何か言葉によって裏切られたことか、あるいは味覚がおかしくなったか、と早合点しそうになったが、もちろん、 の後で文節区切りを入れないといけなかったのである。
  

(54) 穴あけ性行為 カナダの男有罪

 どこに穴を開けたのだろうか。石原慎太郎氏の小説などを思い浮かべてしまったが、これは避妊具に穴を開けて女性を欺き、妊娠に導いたのである。
 そういう行為が法律的に有罪になる、というのがこのニュースのツボであった。
  

(55) 教諭が暴言「学校へ出てこい」

 不登校の生徒に教師が「学校へ出てこい」と言うのが、なんで 暴言 で、なんでニュースになるのか、と思ったら、そうではなく、保護者と口論になった教諭が電話口でこのように言った、という話だった。教諭暴言 と言われると、どうしても生徒に対して、と考えてしまう。保護者に、という情報は削らないでほしかった。教諭「学校へ来い」親に暴言 くらいか。
 ニュースタイトルにするために科白は簡略化されているだろうし、どのような口調で言ったのかも分からないから、教諭に落ち度があるかどうかは何とも言えない。
  

(56) 都電はねられ小3男児重傷

 体言の後の格助詞が省略している場合、候補としては第一に 、次に を想定するのが通常の感覚であろう。
 都電 何にはねられたのか、小3男児 はどこにいたのか、イメージが湧きにくかったが、実際には 小3男児 都電 はねられた事故であった。 を想定するのは、なかなかハードルが高い。
   

(57) 小中学生装わせ売春あっせん

 小中学生に大人のふりをさせた(もしくは着飾らせた)のか、もっと歳をとった女性に小中学生を装わせたのか、どっちなんだろうと思ったら、後者だった。そういう需要もあるらしい。
 連用修飾語が、装う前なのか後なのか、両義的な表現である。どっちだったとしても話題性は出てしまうのである。これは格助詞の省略の問題ではない。小中学生を としても、両義性は解決しないのだから、厄介だ。
  

(58) YOSHIKIに6億円賠償命令

 これも、きちんと という格助詞が入っているのだが、やっぱり両義的である。賠償命令 を受けて賠償義務を負ったのが YOSHIKI さんなのか、YOSHIKI さんに対する賠償を誰かが命じられたのか。素直に読むと前者ではないか、と思うが、実際のニュースは後者であった。
 特に、YOSHIKI が文頭に出ているので、YOSHIKI さんの不祥事という印象が生じてしまうという問題もある。
  

(59) 亀田三兄弟、国内追放へ

 国外追放 なら聞いたことがあるが、国内追放 とは何か。国内に閉じ込めておいて、他の人は国外に逃れて遠巻きに見るのか。
 珍妙な用語だな、と思って記事を読んでみたら、国内においてはボクシングに参加できない、という措置であった。日本のボクシング協会による処分なので、外国での活動までは制限できないのである。
  

(60) 特急サンダーバードの車内販売

 「タイトル(表題)」というのは、「主題」を凝縮したものである。「主題」は、「話題(何についての話か)」と「趣意(その話題についてどう捉えているか)」とから成っている。学生の作文のタイトルなどには、しばしば「趣意」を欠いた「表題」がみられる。
 ニュースタイトルでそういうのを見るのは珍しいが、これは典型的な「趣意」欠如である。車内販売 がどうなった話なのか、分からない。わたしもいつも利用していた「サンダーバード」のワゴンサービスにあるアイスコーヒーか何かが評判になっている、という話かと期待した。
 ところが実際には、「サンダーバード」の車内販売が廃止になる、というニュースであった。淋しい話なのだが、そんなことはタイトルから微塵も読み取れない。「サンダーバード」がどこを走っている特急か、地元の人以外はなかなか知らないだろう。それなら、北陸線特急の車内販売を廃止 くらいでよかったのではないか。

 

 このシリーズはここまでであるが、アンテナは今後も張りつづけることにする。Facebook上などで同趣旨の投稿などをすることはあるだろう。

 

※ このカテゴリーの記事のように、まるよしの楽しい日本語の話を満載した本、ぜひお手に取ってお読みくださいね。

 『まるごと とれたて 日本語談義 -ラジオ番組『高専ライブ』で語ることばの話-』
 桐島周 2016 勝木書店 定価1500円(税込)
 
ISBN: 978-4-906485-09-3 
 (桐島周は、まるよしのペンネームです)

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